マクドナルドの異物混入の確率を計算してみた



最近マクドナルドの異物混入事件がニュースを騒がせていますね。マクドナルドのハンバーガーやポテトなどはこれまで何度も食べてきて、とても好きなものなので、ちょっと残念だなぁと思ったり、大丈夫かなぁと心配になったりしています。


いろいろニュースで取り上げているのをぼぅっと見ていたのですが、ちょっと気になることがあったので、マクドナルドの年間の販売品目数から異物混入の確率を計算してみました。



まず、マックの年間の販売品目数をざっと計算してみた


最初にマクドナルドの売上高を調べてみました。参考にしたデータはマクドナルドが発表したものです。http://www.mcdonalds.co.jp/company/csr/pdf/csr_report2011.pdf


2011年の全店舗の売り上げを合計すると5,300億円だそうです。最近は異物混入や中国の工場の問題で売り上げが減少しているようですので、もう少し低いでしょうか。計算しやすいように、5000億円としてみたいと思います。


次に全店舗に来店した客数を見てみます。マクドナルドが公表した数値では、2011年の段階で9億人の人が来店しています。この数値はレジのカウントということですので、1人が複数回購入すると複数の人が来店したとカウントされます。


日本の人口は1億人ちょっとですので、一人あたりマクドナルドに年間9回近く利用しているということなのですね。


私はそんなにマクドナルドには行っていないのですが、毎朝マック朝食を食べる人もいるでしょうし、コーヒーだけ買いに何回も行く人もいるでしょう。ちょっと休憩でマクドナルドで食べるということもありますよね。ちなみに店舗数は全国で3000店舗もあります。これらのことを考えると、妥当な数字なのかもしれません。


この5000億円を9億人という回数で割ると、一人が一回につきいくら支払いをするかという客単価が求まります。



5000億円 ÷ 9億人 = 555.5円/人


1人だいたい555円を1回の購入に使っているわけですね。この値は私の経験とも直感的に合います。だいたい私はセットを頼むことが多いので、だいたい500円から600円くらいを1回につき支払います。他の人もだいたいこんな感じでしょう。


次に555円を払ったときに何個のメニューが含まれているかを考えてみます。ハンバーガー、ポテト、ドリンクでだいたい600円くらいでしょうか。ハンバーガーとポテトで500円ちょっとという計算も成り立ちそうです。大雑把に考えて、平均2.5個くらいのメニューを頼むと555円という金額になりそうです。少なめになってしまいますが、計算しやすいように2個としましょう。


この2個という値にさきほどの9億人をかけます。そうすると1年間にマクドナルドの全店舗で販売されたメニュー(品目)の数が計算できます。



2個 × 9億人 = 18億個(品目)


年間18億ものメニューが食べられているのですね。すごいです。





異物混入の起こる確率は500万分の1以下


では、ここからが大事になるのですが、異物混入が起こる割合を計算してみます。

異物混入の件数はマクドナルドによって発表されていないので、正確な数字はわかりません。そのため、大目に見積もっているかもしれませんが、1日1件異物混入が起こっていると仮定してみたいと思います。この仮定が多いか少ないかは議論の余地がありますが、だいたい1日につき1件、全国のどこかの店舗で異物混入が起こるという計算になります。


実際、異物混入事件についてマクドナルドが記者会見した後は、マスコミや世間がとても敏感になっていると思われますが、毎日異物混入の発表がされることはありません。感覚的には、実際はこれよりも少ないのではないかと思います。


一番良いのはマクドナルドが発表する公的な数字なのですが、残念ながらわかりませんでした。繰り返しますが、この数字はあくまで仮定だということを注意しておいてください。


とりあえずこの仮定をもとに異物混入の割合が計算してみると、計算式は次のようになります。


365(異物混入件数) ÷ 18億(品目) × 100 = 0.0000202 %

となりました。異物混入が起こる割合は0.0000202%です。
だいたい500万分の1という結果です。


これをどのように解釈するかですが、個人的にはとても低い数字だと思います。


参考までに宝くじの確率を紹介します。

TOTOBIG 470万分の1
サッカーくじ 640万分の1
ナンバーズ 1万4000分の1
ミニロト 169万分の1
ロト6 609万分の1
ロト7 1029万分の1
ジャンボ宝くじ(オータム) 1780万分の1
年末ジャンボ 1200万分の1
スクラッチ(パリーグ) 220万分の1
スクラッチ(グランド) 100万分の1


これを見るとマクドナルドで異物混入に遭遇してしまう確率は、TOTOBIGに当たるよりももっと低い確率であることがわかります。ここにあげた数字を見ると、500万分の1という数字は宝くじに当たるのと同じくらいのとても低いものだということがわかるのではないでしょうか?


以上の結果を見ると、マックのメニューを食べて異物混入に遭遇してしまった人は、とても不運だったと思います。宝くじで例えると当たりくじを引いたことになるわけなのですが、宝くじとは違って嫌な気分になります。要は、それくらいの低確率だということです。




プログラマーの目にはマクドナルドのシステムはとても優秀に見える


マクドナルドの異物混入事件というのは、われわれプログラマーやシステムエンジニアと呼ばれる技術職の人間に言わせると、いわゆるバグ発生、不具合発生ということに該当します。


この場合のバグや不具合というのは、パソコンのソフトウェアを使っていて、想定していた動作とは違って、うまく動かなかったり変な挙動を示すようなことが起こってしまう、ということを意味します。



私たちプログラマーは不具合がないようにプログラムを書いていくわけなのですが、バグを紛れ込ませないように書いていくというのはなかなか難しいことです。リリース前に徹底して不具合をつぶすわけなのですが、リリースした後も小さな不具合、時には大きな不具合が見つかってしまいます。



マクドナルドはとても合理的にシステム化されていると思いますが、食品を加工したり調理したりする段階で人の手が入ることで、不確定要素が増えていくと思われます。人手が入ることで不具合が入る確率が上がると思われますが、毎日何万ものメニューが販売されているにもかかわらず、不具合の発生確率が500万分の1というのは、とても低いと思ってしまいます。上記の例では毎日1件、何らかの異物混入があると仮定していますが、実際はもっと少ないのではないかと思われます。年間の異物混入件数が半分に減るだけでこの確率は1000万分の1になります。


マクドナルドの販売システムはとても良くできた優秀なシステムだなと思わずにはいられません。


私はマクドナルド側の者ではないのですが、異物混入(不具合)の確率をゼロにしろ、というのはとても気の毒だなと思わずにはいられません。


私たち技術者が「不具合をゼロにしろ」と言われたら、徹夜が増えて体を壊してしまうかもしれません。ユーザーや顧客のためを考えろ、ということなのかもしれませんが、どこまで行けば許容してもらえるのでしょう?


もちろん、こんなことが言っていられるのは私がマクドナルドで異物混入に遭遇したことがないからなのかもしれません。実際遭遇したら「もう買うのはやめておこう」と思うかもしれません。しかし、それでも、上のような計算から出てくる数字を見てみると、マクドナルドはよく頑張っている、と思ってしまいます。


異物混入に遭遇してしまった人の目から見ると、すべてが悪いように見えてしまうのは仕方ないと思います。企業の目から見ると、異物混入の起こる確率は限りなくゼロに近づけているように思えます。



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