WEBシステムのリプレース依頼から見える顧客と企業との信頼関係



先日、うちの会社に現在使っているWEBシステムのリプレース構築をお願いしたいという問い合わせがありました。


実際に問い合わせ先に訪問して話を聞いてみると、どうやら今使っているWEBアプリケーションのリニューアルを行いたいようで、各社に声をかけているということでした。


実際にWEBアプリを見せてもらって説明を受けたところ、これまで某企業に開発と保守をお願いしていた、ということでした。


そうであれば、その企業にリニューアルしてもらえばいいじゃないのかな?と思うのが普通なのですが、他の企業を探しているということで「ははぁ、そうか。」と見えてくるものがありました。



なぜ開発元でなく他の企業に依頼するのか?


お客さんから直接なぜ今の担当企業をやめて他を探すのかという理由を聞くことはできませんでしたので推測になるのですが、恐らく本当の理由は今の開発元企業や担当者とのやり取りがストレスに感じていたり、不満がたまっていることが原因なのではないかと思います。


話を聞いていると、「この機能がJavaアプレットでできているのが嫌だ」、「古いフレームワークを使っていてセキュリティが心配だから別のものに変えたい」、「自分でデータを更新したいのにできない」などと、いくつも不満をこぼされておりました


顧客と開発元の関係が良好であれば、機能に不満があったり改良点が出てきた場合には、まずは打ち合わせなりメールなりで、相談するという形をとることが多いです。


お客さんにも予算がありますので、この機能を追加するならいくらくらい、という形で見積書を出すこともあります。そして先方のゴーサインが出れば受注という形で新たに機能追加プロジェクトが動き始めます。


しかし、お話を聞いている限りではどうも開発元とお客さんの間で、相談が行われたようには聞こえませんでした。


以前、SEにとって顧客と顔をあわせて打ち合わせを行うことの重要性の記事でも書いたのにも似ていますが、顧客の要望を担当企業が正しく拾い切れていないのだと思います。


つまり、先方の不満をうまく解消することができない状態がずっと続いてしまって、ついに顧客の不満が爆発!結局この開発元は信頼を失って切られてしまうということになっているようなのです。



顧客の不満を解消しないと利益を失う


この例が教えてくれるのは、お客さんの不満を解消し切れていないと、顧客の信頼がなくなり、利益を得る機会を逃してしまうということです。


システム開発で利益を得られる機会は以下のように3つあります。


1.新規プロジェクト受注時
2.保守費用
3.機能追加受注時



一番大きなのは言うまでもなく1.の新規プロジェクト受注時です。一からまとまったシステムを作ることになるので金額は大きくなります。保守費用は年間数十万~数百万程度になることが多く、1つ1つの保守費は少なくてもいくつもの案件が保守フェーズに入っていると保守費だけで結構な額になります。また、1つのプロジェクトの保守費は小さくとも、何年も保守対応をしていると、保守費の合計金額は大きな金額になってくることがあります。


そして、機能追加発注になると、1.の新規プロジェクトほどではなくなりますが、まとまった金額になります。


結局今回の件で、開発元は2と3の機会を失ったことになります。つまり、毎年入ってくる保守費と機能追加による利益の2つをなくしたわけです。金額的に結構大きいと思います。


そのかわり、もしうまくいけば、今度は私たちの会社がこれらの利益を得ることができるようになるかなと期待しています。


先方からお聞きした内容をもとに、顧客の不満をくみ取って、私たちの会社が提案書を作って先方に提出することになります。結構大きい金額になりそうで、我々にとっては願ってもない機会なのでうれしい限りなのですが、開発元にとっては収入源が絶たれるわけですから、残念なことになってしまったのではないかと思います。


もちろん、我々が受注することができれば今度はこの開発元と同じ立場になるわけですから、先方が不満をためこんでしまわないように注意深く顧客対応をしていかなくてはなりません。この辺りがなかなか難しいところではあるのですが、開発ならびに保守時の顧客との対応を頑張りたいと思います。




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