人は締切ギリギリにならないと動かない生き物なのか?
うちの会社は40人くらいの小さなソフトウェア会社です。顧客から直接発注をいただけることが多く、お客さんと直接やりとりしながらシステムを組んでいきます。
いわゆる直請けの仕事で、上流工程から下流工程までをうちの会社で請け負います。お客さんと一緒にシステムを作り上げていく醍醐味が味わえたり、顧客の要望が直に聞けるというメリットがありますが、時々悩まされるのも事実です。
先日、お客さんから注文を受けてウェブ用のアプリケーションをJavaで作成していた時の話なのですが、ちょっと困ったことが多発してさすがに仕事を辞めたくなってしまいました。
というのも、このお客さん、ギリギリにならないと動かない人だったのです。
「こんな機能が欲しい」と具体的に言ってくれるのでありがたいのですが、必ずこんな一言が付け加わります。
「明日までにお願いします!」
おもわず「えっー!」ってなります。というか、無理です。
「こんな機能がほしい」と言われてその内容を吟味し、プログラムの作成に着手したらあっという間に1時間、2時間はかかります。それからプログラムを書いて動作確認をして、となったらあっという間に夜中になってしまいます。
なぜ明日までにほしいのかを聞いてみると、「明日デモをしたいから」といったような理由をおっしゃられます。
「デモの予定はもっと前からわかっていたのではないのですか?」と聞けたらいいのですが、そんなことはもちろん言うことはできず、私の叫びは心の中でやまびこのように反響して消えていきます。
もっと早くに言ってくれてたら余裕を持って対応できるんですけどね。そしたら心の中に巻き起こるイラッとする気持ちがあふれ出ることもなく、快く仕事ができるのです。
でも、こういう人って本当に多いのが現実です。ほとんどの人がそうだといっても過言ではありません。よくよく考えると自分にも当てはまります。
学生時代、テスト勉強は余裕をもって準備しろとさんざん言われた挙句、勉強に取り組むのは直前、といったことはよくありました。もうこれ以上先に延ばすことはできない、というギリギリのラインではじめて具体的な行動に出るというパターンです。
多分、人間の本質なのでしょう。
人は、もうこれ以上引き下がれないところまで来ないと動き出すことができない生き物である
ソクラテスかニーチェあたりがこんなことを言ってないのでしょうか?調べてみる価値がありそうです。
これが自分だけで完結していると、被害はすべて自分だけで収まるので誰にも迷惑はかけないのですが、関係者が何人かいると被害も拡散していきます。
特にIT企業で受託開発をしているところでは、顧客にこの行動パターンをとられると、本当にいい迷惑です。
データ解析の仕事を請け負ったときにも同じような体験をしました。
お客さんからもらったデータを解析し、その結果を返した上で「ご確認をお願いします」と伝えました。何も連絡がなかったので問題なかったのかなと思っていたのですが、しばらくたってから連絡が来て、「こんなんじゃダメだ。もう一度やり直してくれ」と言われてしまいました。
期限は?と聞くと、「今日中に」と言われました。
理由は論文を提出する期限が明日だから、と言われて唖然としました。そんなに大事なことならもっと早く確認しろよ、と心の中で声にならない声で大絶叫したことをよく覚えています。その日は夜中まで残業したのは言うまでもありません。
こんな人が本当に多いのです。
人は、もうこれ以上引き下がれないところまで来ないと動き出すことができない生き物である
大事なので繰り返してみました。
「人はギリギリにならないと動かない生き物である」、これは知っておいて損はない言葉ですよ。