システム開発ではプログラムだけでなくマニュアルも手を抜いてはいけない



うちの会社では受託開発が多く、お客さんからの要望をもとにプログラムを書いて、システムを作ることがよくあります。プログラムを書いてお客さんに確認をとりながら進めていき、開発が完全に終了する際には、プログラムとマニュアルをセットで納品するという流れが基本的なパターンです。


いつものように新しいお客さんからシステム化の要望を受けて開発に取り掛かった際、びっくりしたことがあったのでここに紹介したいと思います。


この時作ったシステムというのは、顧客先の業務をシステム化するというもので、それまでExcelで管理していたデータをデータベース化し、複数のユーザーがブラウザを使って登録や検索、修正ができるというようなごく普通の業務管理システムでした。


実際に開発を進めて、システムをお客さんに使ってもらう段階になった際、動作確認ができるURLと操作マニュアルを一緒に連絡しました。


システムはとても簡単なもので、トップページからログインして、メニューから希望する内容を選択すれば簡単にデータが見れたり登録ができるようになっていました。とても直観的な操作ができますし、内容もシンプルです。メニューにはユーザーが希望した項目名が表示されていますし、このメニューは全画面共通で画面上部に表示され続けますので、どこをクリックすればどんなことができるのかというのが、このメニューを見ればわかるはず、と思っていました。



システムを使わずにマニュアルから読み始めていた!


問い合わせがあったのは、お客さんに連絡した翌日のことでした。希望していた機能が実装されていないのではないですか?という内容でした。


そんなはずはないはず、と思ってお客さんに連絡したURLにアクセスして、もう一度確認してみました。ログインして中を確認してみると、ちゃんとその機能を使うことができます。おかしいな?と思って、もう一度お客さんに連絡してみました。


2~3時間ほどして再度お客さんから連絡がありました。よくよく確認してみると、びっくりした言葉が返ってきました。


マニュアルに書いていないので実装されていないのではないのですか?


なんと、このお客さんはシステムにログインして使ってみるのではなく、いきなりマニュアルから読み始めていたのです。マニュアルに一通り目を通して自分が希望する機能の説明がなかったために、その機能が実装されていないという結論に至ったということのようでした。


「おかしいと思ったら、実際に使って確認してくれ!」


と、とても残念な気持ちになりました。


なんのために動作確認用のURLを教えていたのでしょうか?さっさとログインして、ちょっと触ればすぐに分かってもらえたはずです。操作を試すことなく、マニュアルだけ読むという人がいることにびっくりしてしまいました。


私の方もうっかりしていて、ユーザーが希望していた機能についてマニュアルに書くのが抜け落ちていたのは申し訳ないなと思います。でも、この機能はログインして画面上部のメニューに表示されていますので、ログインさえすればすぐにわかるようになっていました。


世の中には、実際に操作を試さない人がいて、マニュアルから読み始める人がいるということ。そしてマニュアルを読んで書いてないと、その機能がないんだと思う人がいる、ということを学習できたという経験談でした。


いろんな人がいるものなのですね。


私なんて、マニュアル読むのは面倒くさいので、とりあえず触ってみるところから始めるタイプです。わからないことが出てくればマニュアルを読むので、ちょっと想像力が足りなかったのかもしれません。



マニュアルといえども真剣に書く


プログラマーはシステムを作るということに全力をあげても、マニュアルを作るという部分に関してはどうしてもプログラミングほど力は入れないという方が多いのではないかと想像しています。もし違っていたら、世の中のプログラマーの皆様、ごめんなさい。


少なくとも私にはそのような気持ちが少しあります。システムはちゃんと作るけど、マニュアルは補助的な位置づけ、という感覚が少なからずあります。


言い訳になってしまいますが、うちの会社は1人で上から下までこなすことが多く、プログラムを書いてしかもマニュアルも書いて、ということがしょっちゅうです。納期ギリギリまで開発が続いてマニュアル作成に回す時間がないということもあります。


でも、上のような経験をしたことでそんなことも言ってられなくなりました。真剣に書かないとトラブルになるかもしれない、という危機感を感じました。


マニュアルは漏らさず書く、わかりやすい言葉で伝わるように書く。当たり前のことなのかもしれませんが、モノづくりに携わる人間として気をつけたいと思います。




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